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今回は8月の木をご紹介致します。
今回は【クスノキ】についてお話致します。
クスノキの花言葉は、「芳香」。
【クスノキとは・・・】
・茨城県以南の暖地に自生するクスノキ科クスノキ属の常緑樹。光沢のあるライトグリーンの新緑が美しく、枝葉をちぎるとハッカのような芳香を放つのが特徴。日本以外でも韓国の済州島、南シナ海沿岸の中国、台湾及びベトナム等に分布する。
・クスノキの材や枝葉からは、今日でいうプラスティックのようなセルロイドや、カンフル剤の原料となる樟脳、香料が採取できる。産業上の都合で明治時代から各地でさかんに植栽されたため、本来の自生地は明らかではない。もともと日本には自生せす、史前に東アジアの大陸部から日本へ帰化した可能性が高いとされる。
・エンジュが日本に渡来した時期は不明だが、神功皇后(170~269年)の伝説に、安産の祝いとしてエンジュを植えたとされ、今昔物語にも庭木として登場する。明治10年代には東京の街路樹として使われ始め、現代でも山の手通りなどに見られる。また、エンジュは学問の木とされることもあり、日本最古の学問所である足利学校(栃木県)などに植栽される。
・防虫効果のある樟脳(タンスに入れる防虫剤)は木全体に含まれるため、樹木としてのクスノキに害虫の被害は少ない。葉の密度は高く、大木となるため、木陰を作る緑陰樹として公共の場所や店舗、会社のシンボルツリーなどとしてエントランス等に植栽される。渋谷のスクランブル交差点(駅側)にポツンと立つのもクスノキ。
・千年以上にもなるという樹齢の長さから、時にクスノキは神聖な木や縁起のいい木とされる。神社仏閣の御神木や天然記念物に指定され、樹齢数百年を超えるクスノキも多い。得体の知れない木を意味する「ナンジャモンジャ」の正体はクスノキやヒトツバタゴであることが多い。
・通常の樹高は20m、直径3~5mほどだが、樹高50m、直径8mを超える巨木となるものもある。日本の巨木ランキングの上位ほとんどをクスノキが占め、鹿児島県姶良郡蒲生町にある八幡神社のクスノキ(蒲生の大楠/樹齢1500年)は環境省の調査によって日本一の巨木であることが証明されている。
・クスノキの葉は革質の卵形で枝から互い違いに生じ、長さ5~12センチ、幅3~6センチほど。表面には光沢があり、裏面は白い。葉の縁は波が打ったようになるがギザギザはない。また、葉の付け根付近に3本の葉脈が目立つのが特徴で、この葉脈の分岐点にはダニ(フシダニ)の住む小袋(ダニ部屋)がある。
・葉の寿命はちょうど一年であり、春~初夏(関東ではゴールデンウィーク頃)になると新旧の葉が一斉に入れ替わる。新葉及び葉の付け根(葉柄)が赤いものと緑色のものがあり、前者をアカグス(赤樟)、後者をアオグス(青樟)と呼ぶ。庭木としては芽吹きの美しいアカグスが好まれる。
・花の後にできる緑色の実は最終的に8ミリほどの大きさになり、秋(10~11月頃)になると黒紫色に熟す。中には種が一粒入っており、これを蒔けば比較的簡単に発芽する。ムクドリやカラスなどはこれを採食するが、樟脳のような香りがあって美味しくはない。
・クスノキの材は建材や家具、彫刻、仏壇、仏像(主に飛鳥時代)、木魚、丸木舟、木箱など様々な用途に利用され、その耐久性の高さは、海中に立つ安芸の宮島(厳島神社)の大鳥居で立証される。製材後、時間が経っても樟脳特有の香りが残り、クスノキで作ったウッドチップに消臭効果や防虫効果があるとしてドッグランの地面に用いられることもある。
・クスノキという名前の由来には諸説ある。クスシキキ(奇木)、クスノキ(薫木)、クサイキ(臭い木)、クスリノキ(薬の木)が転化したとするのが主だが、いずれもこの木が持つ葉の香り及び性質に着目したものと考えられる。漢字表記には「樟」と「楠」があるが、後者は本来タブノキを表すもので、「樟」が正しい。
・樹皮は明るい褐色で、縦に細かく裂け目ができ、大木となるとノキシノブというシダ植物が着生していることが多い。
【クスノキの育て方のポイント】
・日向の肥沃地を好むが、環境への適応力はあり、土質を選ばず、半日陰程度でも育つ。街路樹に使われることから分かるように、大気汚染にも強い。
・枝に柔軟性があり、大木であっても風に強い。ただし、その分、木に登った場合、用心しないと枝が折れて危険な目に遭いかねない。また、雪の時季には雪の重みで、台風の時季には強風によって枝や幹が折れ、みすぼらしくなることもある。
・耐寒性がやや低い。植栽の北限は宮城県の臨海地帯で、安全圏は茨城県以西。安全圏であっても冬の寒さが厳しい年には上部が枯れることがある。また、苗木の場合も防寒対策が必要であり、明治神宮の造営時には冬季にコモを巻いて保護していた。乾燥した風にも弱い。
・剪定に強く、刈り込んで小さく仕立てることもできるが、秋以降(特に冬期)に強剪定すると枯れ込むことがある。
・一般家庭でも育てられるが、根の張りが豪快であり、苗木を植えても将来的にはブロックやアスファルトを打ち破る可能性が高い。また、既述のとおり木全体に油分を含み、可燃性が高いとされるため、一般家庭の庭木には向かない。公園や神社などスペースのある場所で雄姿を観賞するのがよい。
・クスノキは病害虫にかなり強いが、一部の蝶(アオスジアゲハ)の幼虫は、この葉を好んで食べる。人為的に植栽されるクスノキの増加に伴ってアオスジアゲハも生育範囲を広げているという。若い幼虫は葉裏に潜むが成長すると表面にも見られる。また、チャミノガ、ツマジロエダシャク、クスサンなど蛾の幼虫によって新葉を食害されることもある。いわゆる蓑虫(ミノムシ)であり、枝葉に絡みついている蓑を見付けて除去したい。
【クスノキの品種】
・マルバクスノキ
植物学者である牧野富太郎博士が、筑波山神社で見たクスノキを新種として昭和15年に発表した。普通のクスノキは葉の幅と長さの比が1:2~2.5だが、マルバクスノキは1:1.3~1.6になるという。明らかな丸ではないが、クスノキに比べると丸い。
【クスノキに似ている木、見分け方】
・タブノキ
葉がクスより肉厚で、緑色が濃い(クスノキはどちらかといえばライトグリーン)。別名「イヌグス」だがタブノキの方が材の硬度は高い。花はクスノキよりも目立つ。
・シロダモ
本州以南の平地~低山帯に点在するクスノキの仲間。葉はクスノキに似るがより大きくて裏面が白い。新芽は特に目立ち、薄暗い雑木林でもよく目につく。
・アカハダクスノキ
沖縄や台湾に分布。樹皮が鱗状に剥離した後、淡い赤茶色の新しい樹皮が現れる。葉の裏面はクスノキよりも色が濃く、葉の両面が同じような色になる。
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